甲状腺疾患

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糖尿病と甲状腺疾患の関係

糖尿病と甲状腺疾患の関係

甲状腺ホルモンは、主に体の代謝率を上げることで糖新生を促進し、血液中のグルコース濃度(血糖値)を上げる役割があります。そのため、甲状腺ホルモンが過剰だと高血糖状態となり、逆に不足していると低血糖状態となります。

甲状腺疾患と糖尿病には深い関係があり、それぞれの相互的な影響が指摘されています。糖尿病患者さんは甲状腺の病気にも注意が必要ですが、逆に言えば、甲状腺の異常を改善することで糖尿病の進行を抑制できる可能性もあります。

糖尿病と甲状腺疾患の共通の危険因子

糖尿病と甲状腺疾患はともに内分泌系の疾患であり、いくつかの共通する危険因子があります。糖尿病や甲状腺疾患と診断されていなくても、これらのリスク要因がある場合は早めの対策をおすすめいたします。

  • 不健康な食生活(ヨウ素摂取の偏り、栄養バランスの乱れ)
  • ストレス・喫煙・加齢などによる免疫力低下
  • 細菌・ウイルス感染
  • 自己免疫疾患の家族歴 など

糖尿病と関連する甲状腺疾患(例)

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌不足により代謝が低下する疾患です。糖尿病とは内分泌疾患としての共通点があるので、糖尿病患者では発症リスクが高く、両者の併発も多々見られます。甲状腺機能低下症は血糖コントロールを困難にするうえ、治療効果を低下させる可能性があります。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌される自己免疫疾患です。糖尿病とバセドウ病は、どちらも免疫系の異常が関与する点で共通しています。甲状腺機能亢進状態では代謝が過剰に高まり、血糖値の上昇や糖尿病のコントロール悪化を引き起こす可能性があります。

橋本病(慢性甲状腺炎)

橋本病は自己免疫性甲状腺炎の一種で、徐々に甲状腺ホルモンが分泌できなくなる疾患です。糖尿病(1型糖尿病)の場合は橋本病の発症リスクが高く、両疾患は自己免疫機序を介して深く関連しています。

橋本病による甲状腺機能の低下は、インスリンの作用効果を低下させるため、血糖コントロールを困難にする可能性があります。

無痛性甲状腺炎

無痛性甲状腺炎は、甲状腺に痛みのない炎症が起こり、甲状腺の機能が一時的に低下する疾患です。炎症による機能低下は一過性のものが多いですが、まれに長期化することもあり、動悸や息切れ、手の震えなどが持続することもあります。

糖尿病患者では発症リスクが高く、血糖コントロールに影響を与える可能性があります。無痛性甲状腺炎に限りませんが、甲状腺機能の変動は血糖値の変動を引き起こし、糖尿病管理を複雑にする可能性があります。

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎は、甲状腺に痛みや腫れを伴う炎症が起こる疾患です。急性より長く症状が続くものの、慢性的なものではないために「亜急性」の名がついています。具体的な原因は明らかになっていませんが、ウイルス感染が原因と考えられます。