糖尿病の原因と前兆

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糖尿病の種類と原因

糖尿病の種類と原因

糖尿病は、いずれも体内で血糖値を正常に保てなくなることで起こります。一口に糖尿病と言っても、その原因によって病態や適切な治療・管理が異なるため、早期かつ的確な鑑別が重要です。

1型糖尿病

1型糖尿病は、最終的には膵臓がほとんど、もしくは全くインスリンを分泌できなくなるタイプの糖尿病です。遺伝的要因や自己免疫疾患、ウイルス感染などが引き金となり、体の免疫システムが誤ってインスリンを産生する膵臓のβ細胞を攻撃し、破壊してしまうことで起こります。

1型糖尿病の患者さんの場合は、インスリン注射による長期的な治療と管理が必要となります。発症の予防は難しいですが、早期発見と適切な治療により、合併症のリスクを低減し、健康的な生活を送ることが可能です。

2型糖尿病

2型糖尿病は、遺伝的要因と生活習慣が複雑に絡み合うことによって発症します。とくに症例の多い糖尿病で、日本人の糖尿病患者の大多数を占めています。主な原因となる生活習慣には以下が挙げられます。

  • 不健康な食生活
  • 過度な飲酒
  • 運動不足
  • 肥満
  • ストレス
  • 睡眠不足
  • 加齢
  • 生活リズムの乱れ など

インスリンが分泌されていても糖尿病になる?

2型糖尿病患者さんの場合、もともとのインスリン分泌自体は正常なのですが、上記の習慣が長期化し、体内環境が悪化してインスリンが効きにくい状態が続くことで糖尿病を発症します。つまり、体内でインスリンが作られていても、糖尿病になってしまう可能性があるのです。
「糖尿病は治らない病気だ」とお聞きになったことがあるかもしれません。実は糖尿病を発症した時点で膵臓のインスリンを分泌細胞(膵β細胞)の半分は死滅していると言われており、死滅した細胞が回復することは難しいため、糖尿病発症前の状態には戻ることはできないためと考えてられています。

血糖値が高い状態が続けば続くほど細胞は死滅していくため、初期の2型糖尿病であれば、食生活や運動習慣の改善により改善が期待できます。早期発見と適切な生活習慣の改善、必要に応じた薬物療法による血糖コントロールを行えば、問題なく日常生活を送れる場合が多いです。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病

妊娠中に見られる糖尿病は、妊娠糖尿病、妊娠中の明らかな糖尿病、糖尿病合併妊娠の3つに分けられます。妊娠前から糖尿病であった方もコントロールが悪化することが多いですが、糖尿病でない方でも血糖値が上昇し妊娠糖尿病の診断となることがあります。それは妊娠中は胎盤からインスリンの働きを妨げるホルモンが分泌されるため、血糖値が上がりやすくなるためです。これに体が対応できない場合に妊娠糖尿病となってしまうのです。

通常は出産後に改善しますが、妊娠糖尿病は母児両方に影響を与える可能性があるため、適切な治療と管理が重要です。また、妊娠糖尿病になると、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高くなる点にも注意しましょう。

糖尿病の前兆・自覚症状

糖尿病の厄介な点は、明確な「前兆」がないことです。とくに初期段階では自覚症状がほとんど現れません。何年もかけてゆっくりと進行することもあり、重篤な合併症になって初めて糖尿病に気づくケースも少なくありません。定期的な健康診断と早期の受診が、糖尿病予防の鍵となります。

糖尿病の自覚症状

自覚症状に乏しい糖尿病ですが、進行に伴い以下のような症状が現れることがあります。ただし、これらはいずれも気づきにくいため、自覚症状があっても糖尿病だと思わずに放置されてしまうケースも多々見られます。

糖尿病への正しい知識を持ち、自覚症状に気づいた際や健康診断で異常を指摘された際には、早めに当院へご相談ください。早めに受診することで、重篤な合併症や生活への影響を回避できる可能性が上がります。

のどが渇く

血糖値が高くなると、尿の中に糖分が多く排出されます。糖分が多い尿は浸透圧が高くなるために体内の水分も一緒に失われるため、尿の量が多くなりのどの渇きを感じやすくなります。

頻尿

血糖値が高いと、腎臓から余分な糖が多く尿中に排出されます。そのため、尿の量が増え、トイレに行く回数が増加します。

疲労感・倦怠感

血糖値が高すぎると体内の細胞がエネルギーを十分に得られないため、疲れやすくなります。

急激な体重減少

糖尿病の初期には体重が増加します。しかし血糖値が一定以上まで高くなると尿中への糖分排出が増加したり、また糖をエネルギーとしてうまく利用できなくなるため、体は脂肪や筋肉を分解してエネルギーを得ようとします。その結果、急激な体重減少が起こることがあります。

視力低下

高血糖状態が続くと、網膜の血管が障害されて眼底出血や網膜剥離など起こり、視力低下が起こることがあります(糖尿病網膜症)。

傷の治りが遅い

高血糖状態は血行を悪くし、免疫力も低下するために傷の治りを遅くします。
特に糖尿病性足壊疽といって、足にできた小さな傷から感染し下肢切断に至ることもあります。

手足のしびれ・むくみ

神経障害や血行不良により、手足にしびれやむくみを感じることがあります。