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院長インタビュー

命を救う使命が結んだ2つの専門性
合併症リスクを考慮したトータルでの糖尿病治療
糖尿病に興味を持ったきっかけは?

もともと「命を救いたい」という思いで医師をめざしたので、命と直結するという観点から循環器内科医として医師としてのキャリアをスタートさせました。循環器内科医として経験を積む中で、狭心症や心筋梗塞、心不全患者さんの多くが糖尿病を合併していることに気づきました。適切な治療を受けていなかったり、コントロールが不十分だったりして重症化されているケースが多く、本来なら予防できた症例も多かったのです。
そうした中で「病気になる前に食い止められないか」「重症化を防げないか」という思いが強くなり、循環器疾患の予防や再発防止のためにも、糖尿病の専門性を極める必要性を感じました。
循環器と糖尿病の2つの専門医資格をお持ちですよね?
そうです。糖尿病は全身の血管に影響を与える病気です。細小血管障害といって眼や腎臓などの毛細血管に悪影響を及ぼすことや、大血管障害といって心臓や脳を栄養する血管を障害することで心筋梗塞や脳梗塞を発症することが知られています。循環器専門医は特に命に直結する大血管障害の専門家ですので、糖尿病と循環器、両方の知識を持っていることで、より包括的な治療が可能になります。
糖尿病患者さんは、将来的な心臓病や脳卒中のリスクが高くなりますが、これには動脈硬化が深く関係しています。とくに心臓と血管は循環器内科が専門に扱う臓器です。ですので、循環器内科医としての視点で糖尿病を診ることで、合併症のリスクも考慮しながら、的確な血糖コントロールを行うことができます。糖尿病だけでなく、患者さんの全身状態をふまえた治療計画を立てられるのは、当院の大きな強みだと思っています。

数値改善だけで終わらせない
総合的アプローチで糖尿病と向き合う
糖尿病治療の目標は?
糖尿病治療の最終目標は、患者さんの寿命と生活の質(QOL)を健康な方と同等にすることです。糖尿病の治療というと、血糖値の改善だけに焦点が当てられがちですが、それは目標達成のための一つの目安に過ぎません。我々医師が本当にめざすべきは、患者さんが健康で充実した人生を送れるようサポートすることです。
糖尿病は治癒が困難で、常に合併症のリスクが付きまといますので、長期的な付き合いが必要となります。そのため、血糖コントロールによる糖尿病の進行抑制だけでなく、合併症予防の観点からも総合的なアプローチを心がけています。
具体的な治療方針を教えてください。

糖尿病の主な合併症には、心筋梗塞や脳卒中などの大血管障害と、網膜症、腎症、神経障害などの細小血管障害があります。当院ではこれらを予防・管理するために、定期的な経過観察と検査を行っています。
たとえば、動脈硬化の状態を評価するための検査(血圧脈波検査や頸動脈エコー検査)は院内で実施可能です。また、患者さんごとに適した栄養指導や運動療法を提案し、糖尿病治療ガイドラインに基づいた薬物療法を患者さんの病態に合わせて選んで行きます。生活習慣の改善を含めた総合的なアプローチで、長期的な健康維持をめざします。

高度な医療と細やかな配慮
患者さんに寄り添う持続可能なケアを実施
クリニックの特徴を教えてください
あびこ駅周辺にお住いの患者さんが、専門的な糖尿病治療を受けやすい環境を作りたいと考えて当院を開業しました。私をはじめとした各スタッフの連携と、専門の医療機器による総合的な糖尿病管理を行えることが、当院最大の強みだと思っております。
まず設備面では、高精度な測定が可能なHbA1c測定器を導入し、基幹病院と同精度の検査結果を即日でご提供できるようにしています。同時に、専門の技師による超音波(エコー)検査で、糖尿病に関連する合併症のスクリーニングも行っています。管理栄養士も在籍しておりますので、糖尿病をはじめとした生活習慣病全般の予防・改善のための食生活改善を細やかにサポートいたします。
患者さんへの配慮で心がけていることは?

患者さんお一人おひとりの生活背景や経済状況に配慮した治療を行うことです。糖尿病は長期的な管理が必要な病気ですから、患者さんの生活に寄り添った、無理のない“持続可能な治療”が重要です。たとえば、食事制限や運動療法については、厳しすぎる指導は避け、患者さんができる範囲で少しずつ改善していけるようサポートしています。
糖尿病の治療は継続が大切です。治療がつらくて途中でやめてしまうと、これまでの頑張りが無駄になってしまいますし、病状の悪化にもつながります。個人的には、つらい思いをして100点満点の生活習慣を続けて心が折れてしまうより、80点程度でも無理なく続けられる方がよいと考えています。

日常に溶け込む生活習慣指導
無理なく続けられる糖尿病治療を重視
食事療法のポイントは?
当院の食事療法では、基本的に食べてはいけないものを決めていません。病態にもよりますが、注意事項を守っていただければ、基本的に何でも召し上がっていただけます。当然、糖分・塩分が多い食べ物や、白米・パンなどの糖質が上がりやすい食品の食べすぎには注意が必要ですが、食べ方を工夫していただければ摂取自体への問題はありません。
食事療法では食事を制限するというより、「食べ方を工夫する」とお考えいただくと、幾分か楽に臨めると思います。当院には管理栄養士も在籍しておりますので、つらい食事療法にならないように、患者さんに寄り添ったご提案をいたします。
運動療法のポイントは?
運動療法というと、多くの方はウォーキングや水泳などの有酸素運動を思い浮かべられます。もちろん、これらも運動療法としては効果的なのですが、レジスタンス運動(筋トレ)も効果的です。毎日のウォーキングがつらいという方でも、スクワットやダンベル体操などを組み合わせていただくことで、無理なく効果的な運動が続けられることもあります。
「運動しなければ」と無理をする必要はなく、日常で体を動かすための小さな心がけが大切です。たとえば、食後すぐにテレビやスマホを観たりせず、軽い運動や家事を行うことで、食後の血糖値上昇を抑えることができます。食事療法と同様、無理なく続けることが大切です。
糖尿病の薬物療法についてはいかがでしょうか?

糖尿病の薬物療法は、近年大きく進歩しています。以前に比べて治療の選択肢が増え、患者さんの状態に合わせたより効果的な治療が可能になりました。
治療の第一歩は、患者さんの自己インスリン分泌能力を血液検査で確認することです。これにより、経口薬で治療可能か、インスリン注射が必要かを見極めます。また、最近注目されているGLP-1受容体作動薬も積極的に活用しています。
患者さん個々の状態に応じて最適な薬剤を選択することで、より効果的で負担の少ない治療が可能になっています。ただし、薬物療法の選択には専門的な判断が必要ですし、使用を誤ると体に危険が及ぶ場合もありますので、常に慎重に対応するようにしています。

不安や疑問に真摯に寄り添う
あなたの人生を支える糖尿病治療を当院から
最後に患者さんへのメッセージをお願いします

当院は、皆さまの健康的な生活をサポートするパートナーでありたいと考えています。たとえ糖尿病になってしまっても、適切な管理と治療を行えば、健康な人と変わらない生活を送ることができます。
糖尿病は長期的な付き合いが必要な病気です。それだけに治療の過程で様々な疑問や不安が生じることもあるでしょう。薬の減量希望や、治療に関する質問など、患者さんの様々な声に耳を傾け、納得のいく形で治療を進めていきたいと思います。常に患者さんに寄り添い、糖尿病との向き合い方を共に考えてまいりますので、どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。